Big Muff Pi 研究隊が行く!
レポート2:U.S.A.NYC製 第3期タイプ解剖編 Part.2

お次は右のチキン・ノブと呼ばれるタイプを解剖してみる。
事前に試奏した限りでは両者はほとんど似た感じの音だったので、
基板上のパーツ自体はかなり品質が安定しているように思われる。
ロシアンは緑も黒もパーツの品質にかなりバラツキが多く、
音もかなり明確に区別できるほどであった。
もちろん、多少の違いはあれど強烈なマフの音ではあるけれども。

ご覧のようにノブが突起が出ているので、
見た目がニワトリの頭みたいなので「チキン・ノブ」と言われているそうな。
調査不足で断定は出来ないのですが、
第2期のラムズヘッドタイプにチキン・ノブがあるので、
丸よりチキンのほうが古いのかもしれない。
ちなみに現行リイシュー版も、初期はこのチキンノブだったが、
現在販売されているのは丸ノブになっているようですな。
それが9Pスイッチによる完全バイパス仕様との
差分になっているかまでは定かではない。
これも丸ノブ同様引っ張ればスポッと取れる。ネジなどはない。
持っている人は無くさないようにね。

見た目的には意外とキズも少なく、サビも少ないので
ツヤ質感が残っているのでかなり状態は良いように見える。
もちろん細かいキズはあり使用感はあるけどね。
ノブの形以外はペイントなどに全く差分は見られない。

またもや光沢でスキャンしづらいんだけど、
とりあえずコレが背面入出力端子類。
左が入力、TONE-BYPASSスイッチ、
外部電源端子(3.5Φミニジャック)、一番右が出力。

中の様子。ペダルエフェクトとしては最大級にデカイくせに、
なかみはご覧の通りスカスカ(笑)
そのへんの無骨さもエレハモの魅力っちゃぁ魅力なんだが。
しかも線材しょぼっ!ハンダ付けも白人にありがちな
お世辞にも上手いとは言い難い感じだね。
パッと見たところ特別大きな改造の跡もないオリジナルのようだ。
ジャックは意外にも日本製。この個体に限らず他のも
結構日本製ジャックは多いようなので
後から日本で取り替えられたのではなく、
安い日本製を輸入していたのかなぁ。
電池ホルダーも、発泡スチロール?みたいなヤツ。
う〜む、この2台を聞き比べてもほとんど一緒の音なので
基板上の部品そのものは品質的に安定しているようだけど、
筐体だけみれば強度とか信頼性はロシアンの方が断然上だね。
メカニカル的にはかなりショボい。これはちと意外だったなぁ。
パブリックイメージはアメリカ製の方が良さそうだものね。
ま、無骨なのがかえって男らしいとも言えるが(笑)
配線もこれじゃ簡単に線が取れたりしそうなものだけど、
その割にはすぐ壊れるとか言う話しは意外と聞かないので、
ま、結果オーライと言うことかしら。さすがエレハモ。
それに、いくら線材や作りがしょぼくても
これだけ多くのミュージシャンを虜にしてるんだからね。
最近の自作派に多い、宗教的なまでに高級・レアなパーツを使ったり、
ヴィンテージワイアーで芸術的配線をするよりも
個人的にはこっちの方が全然好きだわ。
フットスイッチは3P。トルゥー・バイパスなんて最近の流行りでしかないからね。

基板アップ。ボリュームは基板直付けタイプ。
US盤は多くがこのタイプのようだ。
このポットが筐体に固定されることによって
基板も固定されるというやりかた。よって基板にはネジ穴もない。
ご覧の通りパーツは全て方向が一緒になる様に並べてあり、
見た目的にはかなり美しい。サイズもコンパクトだ。
石は2N5088。他のエフェクトでも多く見かけるタイプ。
現行も5088が多いようだ。他にはMPSA18もよく見かける。
両者共にシリコンのNPN汎用品なので、音の差は無視できるレベルだろう
クリッピングダイオードはおそらく1N4148。コレも定番。
比較的音の抜けがよいといわれているが、その差は非常に微妙だ。
他には1N914も良くきくが、トランジスタ同様その差は無いに等しい。
カップリングのコンデンサは0.1μのマイラ。
昔はセラミックだったはずなので、ややマイルドな音になっている可能性はある。
そのマイラを含め、セラコン、電コン、カーボン抵抗などは
現行品のパーツとほとんど同じ汎用品でレアだったり怪しいモノはない。
国産の現行汎用パーツとほとんど音もかわらないだろう。

基板PCB面アップ。スキャナからちと距離があってボケ気味な上
配線がごちゃごちゃしていてパターンはわかりづらいね。すまん。
素材はベーク板かな?年代を感じる。
"EH3034"の刻印。このあたりもいろいろバージョンがあるようだ。
線材のショボさもさることながら、ハンダ付けも白人らしい荒っぽさ。
あ、別に白人を差別してる訳じゃないっすけど。
ギブソンのハンダ付けなんかは超一流だからね。
一般的に見て日本の工場のパートのおばちゃんの方が綺麗。
ま、俺も相当汚いので人のことは言えないけど。
パターン自体は比較的コンパクトに仕上がっている。
とにかく基板のあちらこちらから配線が出ていてごちゃごちゃしてる。
ま、配線を出すところは基板の端っこにまとめた方が
見た目的には美しくなるのだが、
無理矢理パターンをのばすのもノイズが乗りかねないので
これはこれで良しとしても良いのかな?

とりあえず現時点で手元にある全てのマフを積み上げて
マフの壁を作ってみた(笑)壮観な光景だ。
さて、次はチキンノブの解析に着手することにする。
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