Big Muff Pi 研究隊が行く!
〜ロシアンの系譜〜
ロシア製SOVTEKタイプ 調査編
普通マフというとUS版のあの顔を思い浮かべる人が多いと思いますが、
90年代初頭に一時期エレハモの屋号が創始者の手を離れていた時代があります。
その時期にロシアでSOVTEKブランドで製造されていたモデルがあり、
その流れは現在も黒モデルとして引き継がれています。
回路定数が違うため、明らかにUS版とは音が違うので、
敢えてロシアンを好んで使う人もいるようです。
ここではなんとなく集まってしまった私の所有物を中心に、
ロシアンタイプの系譜を追ってみようと思います。
Army Greenタイプ 1


おそらく初期のものと思われる個体の一つ。
文字の字体がご覧のような角張った書体である。

初期タイプの中にはこんな色もあるみたいですが↓

こんなタイプは超レア。個体数は極端に少ない模様。
白地に水色文字なんてのもあるみたい。

で、上の緑タイプは私が2個目にゲットしたもの。
eBayオークションで$51で落札。
送料込みでも9千円チョイでした。
この時期のものは海外でも"Army Green"などと呼ばれ、
国内でも戦車とか地雷とか(笑)言われてます。
筐体も鉄製の肉厚で非常にごっつい。重量感もたっぷり。
90年代初期にロシアで生産開始されたタイプ。
話しによると、実際に旧ソ連時代の軍事工場で作られたという説も。
なるほど、それなら戦車と呼ばれるのもわかるような(笑)
塗装とかの作りもロシアンっぽくかなり雑。
ボロボロ剥がれてしまう塗装です。
また、このモデルは裏の電池BOXのフタがプラスチック製で、
ほぼ例外なく壊れやすいようだ。
さらに面白いのは、フットスイッチがかなり特殊で、
踏んでONにすると、そこで引っ込んだままになるという仕様。
通称地雷スイッチ。
これは現在のロシアンではみられない特徴の一つ。

音は現在の黒よりもだいぶ低音が出てブリブリする感じがする。
その音を求めて、あえて緑タイプを愛用するアーティストも。
Sonuc YouthのThurston Moore、
日本のAIRこと車谷氏も愛用しているとの情報も聞いたことがある。
この個体も抵抗がごつくてデカい酸化皮膜のようで、
私所有のマフの中でも1、2位を争うほどブリブリする。
Army Greenタイプ 2


同じく"Army Green"の初期タイプ。
字体など見た目は同じだが、色が全体的に上の個体よりも薄く明るい。
筐体のメカニズムなどは上のと全く一緒だが、
サーキットの抵抗が一般的な1/4Wの小型カーボン抵抗。
なので気持ちだけ音の線が細めのような感じがしないでもない。
だが、それは上の個体と直で聞き比べてみた時に感じるだけ。
現行黒などと比べればかなりブリブリだ。
その抵抗の違いも、時期の違いと言うよりは
単なる個体差としか言えない。元々管理が大雑把なエレハモで
さらにロシアンとなれば何となく納得はできるか(笑)
こちらはヤフオクで1万円でゲット。私が初めて所有権を得た緑マフ。
Army Greenタイプ 3


こちらは友人からの借り物。オイラが初めて出会った緑タイプです。
ご覧のように文字の字体が丸みを帯びたものに変わっている。
下に紹介する緑から黒への移行期の個体に
この字体が用いられていることから、
おそらく上の個体よりこの個体の方が
製造時期が新しいだろうという推測が成り立つ。
また、緑のペイント自体もツヤのあるペイントで、
比較的綺麗な状態を保つのに一役買っているようだ。
一般に緑マフというとこの字体のタイプが多いように感じる。
おそらく製造された数は緑の中では一番多いのではないだろうか?
その次に多いのが上の角張った字体のタイプである。

この個体も一部の抵抗に大きい酸化皮膜が使われているので
音もかなりブリブリ気味。
まだ手持ちの全ての個体を詳しく解析してないのだが、
おおよそロシアンは共通して回路定数などは同じのようだ。
なのでロシアン同士での個体差は
部品の材質が結構大きく影響している可能性がある。
見た目が同じだからと言って同じ音がするとは限らない。
その辺はエレハモ・ロシアンの大雑把なところで、
愛すべき特徴だが、マニア・コレクターとしては悩ましいところ。
とりあえずお金が貯まったらこの字体も一つゲットしておきたいところだ。
Army Greenタイプ 4


緑は緑なのだが、これまた微妙に違うレアもの。
全体の色、緑具合が違うのは一見してわかったが、
ロゴの字体、地雷スイッチ、ノブなどは普通の緑と全く同じ。
だが、筐体のメカニズムがこれまでの緑とは全く異なっている。
この後にリリースされる黒タイプと同じ構造になっているのだ。
鉄板折り曲げの組み合わせで、重さもだいぶ軽くなっている。
だが、中身自体はまだ旧タイプと同じもので、
基板、中蓋などの構造はそのまま流用されている。
当然音の傾向も旧タイプそのままで、現行よりはかなりブリブリ。
この筐体から中の基板の取り付け向きが逆になっているので、
上から見てみかって左が入力、右が出力ジャックとなっている。
ちなみに旧タイプとUS版は右入力、左出力と
一般的なエフェクトと同じである。
おそらく緑から黒への移行期のもので、
これはその時期の中での初期に作られたものであろう。
eBayで$85でゲット。
SOVTEK Blackタイプ 1


で、ようやく見覚えのある色が出てきました。
黒タイプ最初期のものと思われる。
ご覧の通り文字の字体、ノブの形などは旧緑タイプと同じであるが、
スイッチは現在おなじみの普通のプッシュスイッチに変わっている。
中身も現行と同じ構成となっていて、
部品もほぼ現行黒タイプと同じようである。
そのためか音もやはり緑タイプとは異なって聞こえる。
ややマイルドでなめらかな感じがする。
ブリブリ加減はやや抑えめになったが、非常に扱いやすいように思う。
筐体の材質はツヤのある感じで、状態は良いまま保たれそうだ。
サイズも上の緑と全く一緒。やはり緑から黒への移行期のものだろう。
eBayで$65でゲット。

さらにeBayみていたらこんなタイプも見つけたことがある。

今度はノブと地雷スイッチは旧タイプだが、
ロゴが現行と全く同じタイプになっている。
この緑→黒への移行期は新旧の特徴がいろいろ混ざり合い、
様々なバリエーションが見受けられるようだ。
それぞれの個体数はかなり少ないので、
レア度は高いが、音は基本的に現行黒に近いようだ。

ちなみにこれ以降のロゴはUS版と同一である。
おそらく、一時エレハモの屋号が創始者から離れていたが、
この時期に契約などの話し合いがまとまったのではないかと推測される。
E/H Blackタイプ 1


もう、この時期になれば見た目はほぼ現行そのままですね。
ロゴがUS版と同様のタイプとなり、
ツマミが通信機タイプというか、細長いものになっている。
また、このタイプからはボリュームの回り具合がかなり柔らかくなる。
そのため、セッティングがずれないようにテープで固定して使う
プレイヤーもいるそうである。

筐体のサイズは移行期の緑タイプなどと全く一緒だが、
このタイプからは中身は完全に現行仕様である。
文字の色は鮮やかな黄色である。
これは上の移行期の黒モデルと一緒。
この形になって初期のものと思われる。
音も現行とほぼ同じでマイルドな傾向である。
E/H Blackタイプ 2


私が最初に手にしたマフである。
通信機ノブ、USロゴ、フットスイッチなどの特徴は全く一緒。
しかし、ロゴのペイントの色が上の個体は鮮やかな黄色だが、
この個体は黄緑色をしている。

そしてなにより一番の違いは筐体の「厚み」である。

移行期から一貫して同じサイズだったが、
この個体からご覧のように2/3程度に薄くなっている。
横幅、縦の長さなどは全く一緒なのだが、
この厚みの違いのために、持った感じはかなりコンパクトに感じられる。
また、これもあくまで個体差でしかないのだが、
この個体に関しては意外と音はかなりブリブリ。
さらに現在店頭に並んでいる一番新しいモデルは、
これよりも一回りコンパクトになっているように思われる。
さらに、パネルの構造がやや変更されている感じがする。
もういい加減ロシアン集めも良いかなって感じですが(笑)
丸文字緑と、最新現行が欲しいななんて感じもしたりして。
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