TOOL Maniacs


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TOOL Live Report in Japan

JAPAN TOUR 2007
in Zepp Tokyo / Feb 9th, 2007





Maynard James Keenan : Vocal
Adam Jones : Guitar
Danny Carey : Drums
Justin Chancellor : Bass



サマソニ2006でMaynardが約束してくれたとおり、
今回の単独来日公演が実現した。
フェスでの開放感のある楽しみ方も良いが、
TOOLの場合、夜間の屋内が似合うような気がする。
あの唯一無二の世界観、空気感の演出は
もはや世界中のライブ体験者を虜にして止まない。

発表直後に追加公演も組まれたが、
今ひとつチケットの売り上げは伸びないようだ。
まぁ、かなり客を選ぶバンドであることは確かだけど。
私も極度の金欠でかなり迷ったが、
やはりTOOLライブ中毒からは抜け出せず、
後先考えずに直前になって深夜TVのCMで
思わず東京2日間の電話予約をしてしまった。
いつもネットで買ってるんだけど、
電話だとリザーブ料だの送料だのかからなくて
チケ代オンリーで買えるのね。ちとお得。
でも、人気のあるアーティストだとそうはいかないけど。

会社を無理矢理定時で抜け出して一路お台場へ。
このカップルだらけの汚れた空間へは
あたしゃZepp Tokyo以外は来たこと無いべさ。
金欠でライブ断食もしていたので久々のライブ会場。
暖冬でそれほど寒くないのはオヤジにはありがたい。
でも数日前に買ったチケットが650番台って。
当日券が800以降もあったみたいだけど。

それにしても男ばっか。やはりな。
さらに外国人が異常に多い。2~3割居たといっても
大げさではないと思う。
まぁ、本国ではホール・アリーナクラスのバンドだから
この規模で観れるのは奇跡なんだろうけど、
得てしてこいつらマナーが悪いのが多いので
ちと嫌な予感。

10分押しくらいでようやく暗転。
シンセの重低音が鳴り響き、歓声が沸き起こる。
そして淡々とメンバーが登場。
いよいよ待ちに待った開演である。
Maynardの「コンニチワ」でさらに観客はヒートアップ。
Adamのフィードバックが鳴り響き、
Dannyの方を向いて準備OKか確認する。
Maynardが構えをとるが、
Justinのチューニングがまだ終わらない。
たまらずMaynardは片足立ちで
恐ろしいポーズをとったところで
Dannyがカウントをとり、始まったのが
"Stinkfist"。ÆNEMAからの名曲だ。
いきなりの名曲で
会場のボルテージも一気に上がる!
元々ココZeppはそれほど
音が良くない部類で、
初めの方はMaynardの
音量がやや小さめであったが、
それでも間奏のシャウトは
これまた今までにないほどの壮絶なモノ。
Dannyのタイコもかなりのキレだ。
キックの重低音が身体に突き刺さる。

曲が終わり、Maynard、
「ドウモアリガトゴザイマス」。
Adamの操る重厚なシンセが響き渡る。
2曲目にしてもうMaynardは黒革ジャンを脱ぎ捨て、
上半身裸となる。
そしてJustin の鋭いフレーズが
空気を切り裂いて始まったのが"Forty Six & 2"。
中盤から後半にかけてDannyのプレイは、
もはや人間業ではない。
4人でこれだけの分厚い音の壁を築きながら、
エンディングはピタリと決まる。
これほどまでにライブのリズムの
正確なバンドは絶対に他にはいないだろう。

続いてAdamの光速リフから
始まったのは"Jambi"。
Maynardのアクションは、
さらにも増して恐ろしさを増している。
昨年夏のSummerSonic2006でも
その進化ぶりに驚愕したが、
今回はもう言葉では
表現できないくらいの恐ろしさだ。
会場全体を恐怖の視野に
写し込むがごとく中腰アクション、
イナバウアーなぞ屁のごとく、
中国雑伎団もビックリのエビ反りなどなど
その美しすぎる歌声と
一体化して観客を魅了する。
中盤、おもむろにAdamがマイクへと向かい、
チューブを口にトーキング・モジュレータによる
ソロを奏でる。後ろの映像と合わせ、
この辺りも実に印象的な場面の一つである。

続いてAdamが透明感あるコード弾き始める。
そしてDannyもパッドで交換を
織り交ぜて幻想的なSEの後、
AdamとJustinによる絶妙のコードの
絡みで始まったのは"Schism"。
ココでもJustinのプレイの鋭さが光る。
Maynardの透明感ある歌声も心に響く。
間奏のアレンジもサマソニ同様
かなりのヘヴィアレンジが追加されており、
ココの楽器隊三人の演奏たるや、
驚愕という他ない。
その後通常のアレンジ、
いつもの流れに戻り、JustinのWhammyで
Adamと絡み合う。
このJustinの音もアナログシンセ並みの
太さと鋭さがある。
最後はDannyの驚異のタムさばきが聞き所。
堅めのチューニングの音が突き刺さる。

しばしの静寂の後
(つっても外国人がやたらうるさいが)
Justinがアンプに向き合い、
ど太いフィードバックを鳴らし始める。
シンセのSEとAdamのゆったりした
フレーズも加わる。
こ、これは!"Lost Keys (Blame Hofmann)"である。
おもむろにMaynardが
拡声器を肩に下げる。
もちろんこの後に続くのは・・・・、
そう、"Rosetta Stoned"だ。
ココ東京では初演奏となる。
そのあまりの長さと複雑さ、
そして様式美は"Third Eye" / "The Grudge"と並んで
マニア層のファンが多い大曲である。
しかしまぁ、よくもこんな長い曲を
完璧に演奏できるモノだ。
CDと寸分違わず、そしてライブならではの
圧倒的な迫力でブチかます。
ファンでなくてもヤラれちまうでしょ、
こりゃ。凄すぎます。

(相変わらず外人ともはバカ騒ぎしてるが)
静寂の後、
Maynardの高音が空気を切り裂いて
始まったのは、"The Pot"だ。
サマソニの時に比べてやや透明感という
輝きの面はやや陰りを感じたが、
ツアーで鍛えられたのか、
そのシャウトといい音の太さはさすがという他ない。
そして複雑で光速のリフが続くこの曲も、
楽器隊は難なくこなしている。
もうココまでくるとバケモノだよ、あんたたち。
演奏中のアクションはJustinが
一番リズムに乗っているのだが、
あの動きで良くそれだけの演奏ができますな。
ホントに何度凄い凄いって言えば済む事やら。

ココでシンセによる重厚なノイズが鳴り続く中、
メンバーがMaynardの段の前に
座り込んで一休憩する。
いちいち引っ込んでお決まりのアンコールなぞ
やらずに客を楽しませるのは、
前回のツアーでビデオを流したときと
同じ考えなのであろう。
Justinがライターをかざすと、
会場のあちこちでもライターが灯る。
その光景は幻想的で非常に綺麗ではあるのだが、
髪の毛などに引火する可能性もあるし、
そもそも立派な消防法違反という
犯罪行為なので気をつけて欲しいところだ。

しばしの休憩の後、
おもむろにMaynardがシンセを操り、
続いてDannyも戻り、
パッドで鐘の音を奏で始める。
極めて美しい静寂の空間・・・のハズなのだが、
やはり空気を読めぬバカ外人が騒ぐ。
たまらずMaynard、「Please br Quiet」と要求するが、
その声にYeah!だと。トホホ。
続いてAdamがディレイをかまして
細かくアルペジオを弾き始める。
"Wings For Marie (Part 1)"の始まりだ。
静かで数少ない音と、Maynardの
低音でささやく声が会場を包み込む。
Justinがリフを刻みはじめ、
そのまま"10,000 Days (Wings Part 2)"へ。
背後のスクリーンに雲が流れる映像が映し出され、
時折雷のSEも鳴り響く。
演奏もアップテンポになっていき
高揚感をあおる。
この盛り上がる箇所にあわせて、
スクリーンの上の黒幕が取り除かれ、
アルバムなどで馴染みの巨大アートワークが現れ、
会場も騒然とする。
このときのMaynardの声は
その輝きを取り戻していたように思う。
演奏はどんどん激しくなっていくが、
その後また静かな空間に移行する。
この客を引きつける術は圧倒的だ。

そのまま流れるようにサンプリングの
フェイド・インが始まり、
そのリズムに合わせ、
Adamがクリーントーンで例のリフを奏で始め、
そしてDanny、Justinが続き、"Lataralus"が始まった。
非常に自然な流れに感じる。
この曲もDannyのタムさばきが凄すぎる。
後半の銅鑼の音も壮絶すぎる。
かたやAdamのワウも駆使した
フィードバックコントロールも素晴らしすぎる。
ココまで空間で音色を完璧に
コントロールできるギタリストはそうはいない。

続いて4人がシンセ、サンプラー、
パッドなどでで重厚で美しいSEを奏でる。
5分近くにも及ぶ美しい空間を演出した後、
AdamとJustinが向かい合ってリフを奏で始め、
続いてDannyのパッドとMaynardのシンセが続く。
そう、"Vicarious"が始まった。
10,000Daysの1曲目でもあり
知名度も高いためか
会場も我に返り一気に盛り上がる。
映像は10,000Daysのジャケの顔が
モチーフとなったモノだ。
そして後半、Justinが弦から
火花が飛び出んばかりの超高速ピッキング。
凄すぎる。唖然呆然。
エンディングのAdam、
JustinによるRobert Fripp並みの
複雑なフレーズの超高速フィンガリング、ピッキング、
Dannyの目にもとまらぬタムさばきは最早神業の域だ。

Maynard、「ドウモアリガトウゴザイマス」。
「(See you) Tommorow」。
そのまますかさず「Hey, Hey, Hey, ・・・・」そう、"Aenima"だ。
この曲もDannyの両手両足
バラバラのリズムが驚異的。
ほぼ完璧CDと同じ演奏をこなす。
このあたり、後半の3曲の流れは
非常にライブ終盤の躍動感を与えてくれる絶妙な選曲だ。
こうしてすべての演奏が終わった。

4人が前に出てくる。Dannyがスティックと
ドラムヘッドを2枚くらい投げ入れた。
各メンバーもペットボトルなどを投げ入れる。
そしていつも通り、4人が肩を組み合い
ステージの成功を祝う。
何度見ても感動的な光景だ。
4人ともそれぞれ超卓越したプレイヤーでありながら
少したりともエゴは出さず、
一人だけ目立つようなことは一切しない。
テクニックをひけらかすだけのくだらない
ソロパートなど皆無。
この4人でしか出せない、
この4人だからこそ出せる音を発することだけに
ただひたすら集中し、この異様な空間を作り出す。
他のバンドでは全くあり得ない。
再び客席に向き、支えてくれたファンに礼を、
拍手を捧げてくれた。

各地で精力的にツアーをこなしてきた成果もあってか、
演奏力の向上は凄まじい。
特にDannyはCDには無いオカズも
要所要所に取り入れ、
キック連打などでかなりの迫力と
キレを演出していた。
そしてMaynardもその声の太さには驚いた。
やや高域の透明感が陰ったようにも感じたが、
決して迫力は失われておらず、
時折へなちょこUKバンドなんかは
マジで声が出なくて歌わなかったりするが、
彼はきちんと実力以上の声を保っている。
もちろん、ロック界屈指のバンドに対し、
我々の要求もかなり高いモノがあるが、
その期待を超えるパフォーマンスを
軽々と見せてくれるのにはもはや言葉すら無い。

会場を出ると、ポチポチ雨が降っていたので、
早々に家路につく。
今回のレポートは終了。
長文におつきあい下さり感謝感激。次は明日。


Set List

Intro -> Stinkfist
Forty Six & 2
Jambi
Schism
Lost Keys (Blame Hofmann)
-> Rosetta Stoned
The Pot

-- SET BRREAK --

Wings For Marie (Part 1)
10,000 Days (Wings Part 2)
Lataralus
Vicarious
Aenima







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