TOOL Maniacs


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TOOL Live Report in Japan

SUMMER SONIC 2006 Tokyo
in Makuhari Messe, Chiba / August 13, 2006





Maynard James Keenan : Vocal
Adam Jones : Guitar
Danny Carey : Drums
Justin Chancellor : Bass



待望のアルバム10,000Daysをリリース後、
一日も早い来日が待たれていたのだが、
なんとSUMMER SONICでの来日が決定した。
しかもトリだ。
今年のメンツはなかなか豪華で、
早々に2日券が完売と聞いて
金欠&病気療養中なワシも焦って
TOOLの出る13日券だけ
死ぬ思いでゲットした。
その後あっという間にすべてのチケットが
完売してしまった。今年も暑いフェスになりそうだ。

梅雨が長引き本格的な夏に入って
間もないので持病に夏バテも重なり
体調不良が山の如しであったが、
今日だけは逃すわけにはいかない。
しかし案の定少し寝過ごして
会場に着いたのは14:00頃。
早い時間帯にも邦楽も含め
いろいろ観たいバンドがあって
まずはCOPELANDを観たいなと
思っていたのだが、
見逃してしまうハメに。いと悲し。
前日は雷が凄かったらしく、
今日も天気が心配されたが、
幸か不幸か灼熱の太陽が降り注ぐ。
ごっつ暑い。
持病の頭痛&めまいに夏バテ、脱水症状と
いつ死んでもおかしくない体を引きづり、
まずはURBAN/DANCE STAGEに入った。
EMILIE SIMONの後半の演奏を堪能。
なかなかチャーミングでグー。
暑さに耐えつつ次のCharaさんのステージを楽しむ。
「暑っい!でもこれ以上脱ぐと
モザイクかかっちゃうからねー」なんて
独特の口調でMCしたりして。
「やさしい気持ち」、
「Swallowtail Butterfly~あいのうた」など
名曲も披露してかなり良い
パフォーマンスを堪能できた。


その後あちこち駆け回る体力もないので
メッセを目指す。
サマソニは2年ぶりとなるが、
しっかし、相も変わらず仕切りが悪すぎ。
あり得ない通路の狭さ、進路の配置。
係員のレベルの低さ。
いつか大事故でも起こるんじゃないかと心配だ。
しかしそれ以上に酷いのは客だ。
都市型で若い連中が多いのもあって
毎回不満が多く聴かれるのだが、
今年は異様にゴミが多い。やれやれ。
ブースを一巡りしているとMTVブースに
VJの福田明子ちゃんを発見。超可愛い!
ダイノジなどのお笑いステージを
スクリーンでチラ見しつつ
最終目的地のSONIC STAGEへ。
AFIの後半を拝見。元気いっぱいやね。


お次は邦楽のダークロックの雄、
BUCK-TICKだ。
世代的に初期の曲なんかは
高校時代バンドでコピーもしていたので
結構好きだったりするのだが、
一つ心配なのが黒づくめババァファン軍団の存在。
しかし、幸いなことにそれほど
酷い連中とは遭遇せずにすんだ。
久しぶりにじっくりBUCK-TICKの曲を聴いたけど、
桜井さんすげー歌上手くなってるなぁ。
メンバーの音も、そして曲もかなり格好良い。
BUCK-TICKのサマソニ公式サイトレポート
BUCK-TICK終了が19:05位だったと思うので、
当初のタイムテーブルからは
だいぶ押してしまっているようだ。
ステージ上では慌ただしく
セットチェンジが行われている。
ファンかどうかはともかく客がだんだん増えていく。
でも思ったよりはじぇんじぇん数が少ない。
まぁ、万人受けするバンドじゃないのは確かだが。
ステージにDannyの要塞ドラムセットが運ばれてくる
とそれだけで歓声とどよめきが!!
あの巨大セットは素人が見てもそりゃ驚くだろうな。
そのうちこれもTOOLのライブには
欠かせないスクリーンが登場。
同じ大きさの物が横に4枚。
新曲の映像が楽しみだ。
サウンドチェックも始まる。
Adamの貴重なシルバー・サンバーストの
レスポール・カスタムも登場。
あの色は本当に格好良いよなぁ。
メンバーの配置自体は前回のツアーと同様のようだ。
向かって左側からAdam、Maynard、
Danny、Justinの順。
AdamとMaynardの横にはシンセ類も置かれる。
遠目でよく見えなかったがDannyのセットにも
だいぶ電気類が増えたようだ。
Adamの位置にもマイクが置かれるが、
歌のためではなく後述する
トーキング・モジュレータ用だ。


20:00頃になってようやく暗転。
歓声が沸き起こる。
淡々とメンバーが登場。
いよいよだ。本当に始まるんだ!
Maynardはいきなり上半身裸で登場。モヒカン頭だ。
シンセと各楽器がSE的な音を出し始める。
まずはMaynardが「オハヨウゴザイマス」。
妙にイントネーションが上手い。
SEからAdamのフィードバックに
Dannyがカウントをとる。
そして始まったのが"Stinkfist"。
ÆNEMAからの名曲だ。
いきなりの名曲で会場のボルテージも一気に上がる!
間奏のMaynardシャウトは
これまた今までにないほどの壮絶なモノ。
ハタと気づくが、
明らかにテンポが普段よりやや遅い。

ココ幕張メッセは音響的には
かなり厳しい部類にはいるのだが、
さすがTOOLのPAスタッフ陣は優秀だ。
4人それぞれの音がきちんと聴こえる。

少しの静寂の後、いきなりMaynardの
透き通った声が天を貫く。"The Pot"だ。
あぁ、なんて美しい声なんだ。
この一声だけで一気にファンを惹き付ける。
何故だか思わず私も何かこみ上げてくるようだ。
今日はMaynardの声も非常に良く出ている。
まもなくJustinのBassとDannyのパッドが絡み合う。
うおぉ、Justinよ、今日の音は
尖っていて素晴らしいじゃないのよ!!
Adamも重厚さを増しつつ、
鋭く細かいリフを刻む。
今回の新作はAdamの光速リフ刻みも驚きの一つだ。

Adamの操るシンセが重厚に鳴り響く。
今回のツアーはAdamとMaynardの操る
シンセ・サンプラーが積極的に使われている。
そしてJustinのあの鋭いフレーズが
空気を切り裂く。"46 & 2"だ。
しかし今回はJustinのプレイも本当に凄い。
この鋭さはほとんどスラップに近いほどで、
相当指の力が必要とされる。
音色作りの素晴らしさもさることながら、
このフィンガリングは驚愕ものだ。
中盤から後半にかけてDannyのプレイも
激しさを増していくが、
相も変わらず完璧に、
そしてパワフルに叩きやがる。

MaynardのMCと「10,000Daysからの曲だよ」と
始まったのは"Jambi"。
Maynardがテンガロンハットを手にしたかと思うと、
それを片手に持ちながら
Adamの光速リフにあわせて
大股開きのタコ踊りを始める。
今回はこのMaynardのアクションも
バリエーションが増えている。
今までは前かがみ片足上げよっこらしょリズミングや、
単純エビ反りなどが多かったが、
今回はそれらに加えて大股開きタコ踊り、
エビ反り片足上げゆらゆらイング、
トラボルタのサタデー・ナイト・フィーバー的
くねくねなどなど恐ろしいモノばかり。
後で冷静に思い出すと相当奇怪なんだが(笑)、
決して不自然な物ではなく何しろ
その美しすぎる歌声と一体化して観客を魅了する。
そしてしつこいがとにかくAdamのリフプレイが凄い。
Dannyも、一応へなちょこながらドラムの
心得がある俺でも全くわからんほど
複雑でパワフルなタムさばきを軽々とプレイする。
そしてAdamがマイクへと向かう。歌うわけではない。
この曲のためだけの仕掛けがある。
ギターを弾かない人だと
この曲のギターソロの音は何だ?と
お思いだろうが、これはトーキング・モジュレータという
機材を使っている。
ちと脱線して説明するが、
普通ギターの音は最終的にギターアンプの
スピーカーから鳴るのだが、
こいつは足下の箱の中で爆音を鳴らし、
その音をビニルチューブで
マイクの先まで引っ張り、
チューブを口にくわえて、
その音をマイクで拾うというものである。
口の動かし方でまるでギターが
喋ってるかのような効果を生み出すことができる。
原理的には古い物で、有名どころだと
エアロスミスのジョー・ペリー(Sweet Emotionとかね)、
BON JOVIのリッチー・サンボラ(Livin' on PlayerのAメロとか)、
あたしゃ世代的にあまりピンと来ないけど
さらに古いとJeff Beckもよく使っていたそうである。
とちと脱線したが、とにかく一見古いエフェクト効果だけれど、
このソロでは見事な使われ方で、非常に印象に残る。

続いてはAdamの透明感あるコードと
Dannyの金属音なパッドによるSEの後、
AdamとJustinによる絶妙のコードの
絡みで始まったのは"Schism"。
ココでもJustinのプレイの鋭さが光る。
Maynardの透明感ある歌声も心に響く。
間奏のアレンジが少し変化していて、
途中AdamがDannyの方に近づき
ギター一本になる前にかなり
ヘヴィアレンジが加えられていた。
ココでは多少テンポアップしたようだ。
ココのDannyのプレイもそれはまた壮絶すぎた。
その後通常のアレンジ、いつもの流れに戻る。
Adamが一カ所音を少しだけ
ハズす場面もあったが、それは愛嬌か(笑)
そしてJustinがWhammyで鋭くAdamと絡み合う。
このJustinの音もアナログシンセ並みの
太さと鋭さがある。
最後はDannyの驚異のタムさばきが聞き所。
堅めのチューニングの音が突き刺さる。

ココでMaynard、「アリガトウ」。
完璧なイントネーション。
AdamのフィードバックとDannyのタムが鳴り響く中、
Justinが強力なコードを
ガガッ、ガガッ、と刻む。"Sober"だ。
間奏でシンセを大胆に導入するなど
微妙にアレンジも進化している。
そしてなによりMaynardの
伸びのある高音がたまらない。
どの曲もそうだが、誰もお互いの顔を
見ないのに最後はビシッとキマる。

そのまま流れるようにイントロが
サンプリングのフェイド・インで始まり、
Adamのクリーントーン、
そしてDannyのタムがあのリズムを刻み出す。
"Lataralus"が始まった。
前回のツアーでは最後に演奏されていた曲だが、
非常に自然な流れに感じる。
この曲もDannyのタムさばきが凄すぎる。
どんなリズム感を持てばあんな風に叩けるんだ?
そして中盤も片手とその他が全く違うテンポを刻む。
やっぱ何回見ても凄ぇよ、アンタ。
後半の銅鑼の音も壮絶すぎる。
かたやAdamのワウも駆使した
フィードバックコントロールも素晴らしすぎる。
ココまで空間で音色を完璧に
コントロールできるギタリストはそうはいない。

Maynard、「アリガトウゴザイマス。
See you again, Thank you very much.」
MC時のとても優しい声と、
シャウト時の声とのギャップもまた凄すぎる。
そのままJustinがイントロを弾き出す。"Opiate"だ。
もっとも初期の曲だが、全く色褪せることない名曲だ。
シンセの低音を響かせながら間奏を
少し長めに取るようアレンジが進化している他は
原曲に忠実に、完璧に演奏をこなす。

MaynardがアリガトウMCをしちゃったので
これで終わり?と心配したが、
続いて4人がシンセ、サンプラー、
パッドなどでで重厚で美しいSEを奏でる。
まるでヴァンゲリス(映画・南極物語などを担当)の
ような美しい音色が続いた後、
AdamとJustinが向かい合ってリフを奏で始め、
DannyのパッドとMaynardのシンセが続く。
"Vicarious"が始まった。
10,000Daysの1曲目でもあり知名度も高いためか
会場も我に返り一気に盛り上がる。
・・・んあ、Maynardが歌い出しを間違えた!(笑)
ワンフレーズ早く入りかけてしまった。
こんなことはかなり珍しい。
シンセの演奏に気を取られてたのか、
あるいはこの暑さにやられたか(笑)
遠目で詳しくは見えなかったが、
どうやら一瞬苦笑いしつつスタッフに
中指立てて照れて見たようだ。
しかしすぐさまマジモードに突入。
映像は10,000Daysのジャケの顔が
モチーフとなったモノだ。
うぉぉ!!!後半のギターソロらしき音は
JustinのBassだったのか!!!
弦から火花が飛び出んばかりの
超高速ピッキング。凄すぎる。唖然呆然。
エンディングのAdam、JustinによるRobert Fripp並みの
複雑なフレーズの超高速フィンガリング、ピッキング、
Dannyの目にもとまらぬタムさばきは最早神業の域だ。

Maynard、「See you February」で会場が沸き上がる。
そのまますかさず「Hey, Hey, Hey, ・・・・」そう、"Aenima"だ。
この曲もDannyの両手両足
バラバラのリズムが驚異的。
ほぼ完璧CDと同じ演奏をこなす。
こうしてすべての演奏が終わったようだ。

4人が前に出てくる。Dannyが
ドラムヘッドを2枚くらい投げ入れた。
そしていつも通り、4人が肩を組み合い
ステージの成功を祝う。
何度見ても感動的な光景だ。
4人ともそれぞれ超卓越したプレイヤーでありながら
少したりともエゴは出さず、
一人だけ目立つようなことは一切しない。
テクニックをひけらかすだけのくだらない
ソロパートなど皆無。
この4人でしか出せない、
この4人だからこそ出せる音を発することだけに
ただひたすら集中し、この異様な空間を作り出す。
他のバンドでは全くあり得ない。
再び客席に向き、支えてくれたファンに礼を、
拍手を捧げてくれた。
TOOL! TOOL! TOOL!のコールも
沸き上がるがもちろんアンコールはない。

4年前の単独来日公演もしっかりと観ているので
今夜も素晴らしいライブになることは
ハナから承知の助だったわけだが、
そんなファンの余裕すら遙かに超える
レヴェルアップしたステージング。
単純に演奏力の向上だけでなく、
表現力の向上が凄まじい。
こりゃまたTOOL中毒患者が増えることだろう。

およそ80分、10曲という限られた中での
プレイであったが、
なになにどうして、やはりそのパフォーマンスは
さすがと言うしか他ない。
ライブ会場にこの異様な空間を作り出せるのは
間違いなく彼らだけだ。
Maynardの2月に再来日の言葉を信じ、
また深みにはまれることを期待しつつ
今回のレポートは終了。
長文におつきあい下さり感謝感激。


Set List

Stinkfist
The Pot
46 & 2
Jambi
Schism
Sober
Lataralus
Opiate
Vicarious
Aenima






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