
オペアンプタイプは故障ジャンク品を2台持っていたのだが、
かなり程度が悪くて修理に難儀していた。
資料に乏しく回路図も1〜2個しか見つからず、しかも定数が怪しい。
それなら動くやつ手に入れちゃって解析すれば早いやって事で
狙ってはいたのだが、意外とオペアンプ版は市場に出回らない。
そんななか、2007年8月、ヤフオクにて25,100円にてゲット。
見たとおり外観はかなり使用感がある。
BIG MUFF πロゴ部分の赤いペイントは色落ちし、サビ、キズもかなり多い。
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オペアンプ・タイプであるのに、何故か背面のスライドスイッチはON / OFF。
3期ペイントモデルで、スライドスイッチがON / OFFタイプは
全てラムズヘッドEH3003基板説はもろくも崩れ去った。
とはいっても、オペアンプでON / OFFスライドスイッチタイプは
自分が長いこと執拗に店頭、eBay、ヤフオク、Webなどで
調査している中で初めて目にしたモノで、
超レアものと言って良いだろう。
しかし、この個体の発見によって第2期ラムズ・ヘッドから第3期への移行は、
第2期ラムズヘッド
→ 第3期ペイント・ラムズヘッド(EH3003)基板
→ オペアンプTONE BYPASS無し(EH1322基板)
→ オペアンプTONE BYPASS付き(EH1322基板)
→ オペアンプTONE BYPASS付き(EH3003基板)
→ ディスクリート(EH3034基板)
といった順番で変遷していったのではないかという推測が成り立つ。
しかしオペアンプ・タイプにはDIY EFFECTS OCTOBER ALL OVERさんの
EFFECTOR FETISH☆コーナーで、
EH3003Bなる基板があることが確認されている。
回路構成、定数などはEH1322とほぼ同一のようだが、
基板の造りは明らかにEH1322、EH3003基板とは違う。
おそらくラムズ基板とオペアンプEH1322基板の間に入るのかもしれない。
調べれば調べるほど謎は深まるばかり。
恐るべしエレハモ。
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背面は3期に関しては見た目だけは全て統一されている。
入出力ジャック、外部電源用の3.5φジャック、
唯一の違いはスライド・スイッチが
電源ON / OFF(EH3003ラムズヘッド基板型、EH1322オペアンプ初期型)
またはTONE BYPASS(EH1322後期〜EH3003オペアンプ型、EH3034型)
という機能的な違いがあるだけだ。
どちらにせよスライドスイッチは
後のロシアン、U.S.リイシューでは省略される運命にある。
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内部の写真。かなり手を加えてあるようだが、細かい点は下記に記す。
多くのEH1322タイプは基板裏面に抵抗2本とコンデンサ一個が空中配線されていて、
そこがTONE BYPASS回路になっている。
しかしこの個体はその部分が見つからない。
基板自体に改造した形跡もないし、表面パネルもON / OFF表記だから、
まだこの段階ではTONE BYPASSは生み出されていないと推測される。
スライドスイッチは単純な電源スイッチでしかない。
この後にTONE BYPASS機能を付けることを決断し、
この基板に無理矢理空中配線で追加されている個体が多く見受けられる。
そしてその部品を最初から基板に反映したモノが
オペアンプEH3003基板になるのではないだろうか。
また電池スナップはおそらく修理交換されていると思われる。
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基板型番はごらんの通り"EH1322"。
EH3003ラムズ・ヘッド基板から移行した最も初期のモノと推測される。
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フットスイッチは贅沢にもFulltoneの3PDPタイプに交換されている。
これはトゥルー・バイパス化の改造のため。
6Pinでもトゥルー・バイパス化は可能なはずだが、
面倒くさいので詳しくは解析していないが、
おそらくOFF時に基板の入力か出力をアースに逃がしてるのかもしれない。
オペアンプの発振止め?
さらには入出力ジャックに通じる配線もシールドタイプに交換されている。
これもノイズ対策のためにまぁ、理には適っている改造。
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スライドスイッチ部拡大。
どうみても電源スイッチの役目しかしていない。
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さらなる徹底解析のために基板を分離。
オペアンプは741と4558。どちらも個体によってメーカーの違いはあるが
ごくごく一般的なオペアンプだ。
クリップはダイオード6個。おそらくコレも一般的な1N4148。
定数などは、基板徹底解析編にて掲載予定。
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